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麻疹ウイルスもまた、その通常のパターンからずっと邪悪なものにがらりと変身することがある。
次いでキラーT細胞と抗体は、ウイルス成分はもちろん正常な細胞成分をも認識して攻撃の標的とし、自己免疫疾患を引き起こす。
このウイルスはふつう発熱と発疹を含む急性疾患を引き起こすが、この病気は一、二週間続いたあと、ウイルスは体から排除され、二度と再び感染することはない。
しかし非常にまれな場合に、たいてい幼児に感染するときであるが、このウイルスは脳のなかに持続して、初期感染から一~一0年後に、亜急性硬化性汎脳炎として知られる致死的な脳変性を引き起こす。
もうひとつの例は、ウイルスが「ヒットエンドラン」をやり、彼らが犯罪現場から立ち去ったあと長い時間を経てやっと損害が明らかになるかもしれない、というものである。
自己免疫疾患はこれについての好例である。
単純疱疹ウイルス(HSV)のようなありふれたウイルスは、ふつうキラーT細胞をウイルスたんぱく質に向けさせるきっかけをつくる。
しかし、ときおり、まったく偶然にではあるが、これらT細胞が認識するウイルスたんぱく質の一部は、正常な体のたんぱく質の一部と同一なのである。
したがって、このウイルスと戦うために生み出されたT細胞は、この正常なたんぱく質を発現する。
多発性硬化症(MS)この恐ろしい病気は、見たところ、十代の若者(一九八七年にMSで死んだ世界的に有名なイギリスのチェロ奏者J・Dのような)を狙って突如襲いかかり、破壊的で結局は致命的となる損害を中枢神経系に引き起こすようである。
この病気は一般に再発と部分的回復を断続的に繰り返しながら進行するので、神経系の永久的損傷が時間をかけて蓄積する。
急性ウイルス感染のあとにしばしば再発が起こるように見えるが、ウイルス学者たちがくまなく捜したけれども、いかなる特定ウイルスとの関連も見つけることができないのである。
しかし、それにもかかわらず、多くの科学者たちは、MSがウイルスの引き金によって引き起こされるに相違ないと信じている。
この病気の特徴は、前述したEBV(Eーバーウイルス)とHSV(単純疱疹ウイルス)の二つのモデルにぴったり合っている。
ひとつには、MSの分布が、伝染性単核球症(腺熱)の分布に似て細胞を誤って認識して同様に殺してしまう。
これは「分子擬態」と呼ばれており、自己免疫反応を引き起こすことになるこのように呼ばれる理由は免疫応答(抗体とキラーT細胞またはどちらか方)が、心得違いにも自己に対して向けられるからである。
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